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【74′log移植】アホな少年の夢を守ったカルビーさんの素敵な心遣い。

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HIRO-M

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年老いてすっかりダンスから遠のいたことだし、趣味に没頭する様を綴ります。 ■■■シンセ・・・Korgシンセ愛好 気ままにおうちマシンライブ開催/■■■カメラ・・・PENTAX愛好 K-3 prestage edition & KPが愛機/■■■爬虫類・・・ヒョウモンガメ・ホルスフィールド・フトアゴヒゲトカゲ愛好

小学校の頃、上級生の影響でカルビーのプロ野球カードを集め始めた。

大の野球ファンの親父に見せるのも楽しくて、お小遣いはほとんど注ぎ込んだ。

欲しかったのはあくまでカード。
コンソメ味のポテチそのものは、テキトーに捨てたりして怒られたもんだ。
そんなに喰えないって。

そういえば、おばあちゃんがやってる駄菓子屋で、1枚5円でカードだけ売ってた。
最後の方はどうしたんだろうな、残ったポテチ…。

どういうわけか、巨人のトマソンと阪神の藤田平ばっかり引いてた。
今もそうだけど、ほんっと、引きが悪くて。


あと、強烈に印象に残ってるのが広島の川口和久のカード…
裏に評論家のコメントが書いてあるのだけど、稲尾和久氏が
「私の名前を取ってくれたとのことで光栄だ」なんてコメントしていて
子供ながらに「あー、コレ、言いたくてしょうがなかったんだなー」と思ったのを覚えてる。
野球のこと書いてないじゃん!って。

そんなこんなで、数年間集め続け、暇さえあれば球団ごとに並べて輪ゴムで閉じて… で、ようやく気付いた。

ロッテは?

まぁ、親会社が同じ菓子系の会社だということで発行していなかったというのが真相なのだが
(後に普通に出だしたけど)
小学生のおれにそんなの想像がつくわけがない。
だいたい、カルビーはしょっぱい会社でロッテは甘い会社じゃないか。
まさかポテチとチョコが喧嘩するなんて思わないもん。

ここで、おれ。勇者と化した。
すぐさま仏壇の引き出しに入っていた商店街のスタンプ券を持って文房具屋へ行き、封筒と便箋を購入。
「ロッテのカードがどうしても出ません。このお金で売ってください」
と書き、ティッシュで包んだ100円玉を同封し、ポストへ。

翌日、上級生にそのことを話すと
「バカじゃね?お菓子の会社だから、仲悪いんだよ!」
と得意げに言われ… まぁ、彼も絶対親に聞いたりしたんだろうけど…
とにかく、そこで「大人の事情」というのを知ってしまったのだ。

がっかりした。
大人が信じられなくなった。
盗んだバイクで走りだそうかと思った。

そんなわけで、ちょっとやさくれた日々を過ごしていたある日、
カルビーさんから返事が来た。
そこに直筆でこんなことが書いてあったのである。

「カードを集めてくれてありがとう。
ロッテオリオンズのカードは、会社の関係で作れないんだ。本当にごめんね。
みんなの夢を叶えることが出来なくて情けないし恥ずかしいよ。
いつか必ずオリオンズのカードも作れるように努力することを約束するよ。
実は今”記念カード”というものを作っていて、落合せんしゅのカードだけは出来たんだ。
せっかくお手紙をくれたので、特別にそれをプレゼントするね。
カードは売れない決まりだから、お金は返します。大事に使ってね。」

そして、送った時のまんまティッシュで包んだ100円玉と、
ロッテオリオンズ・落合のカードを含め、10枚近い未発表のカードが同封されていた。


※調べてみたところ、ロッテのカードが初めて出たのは1985年とのこと。多分この時だな。

感動。
後に友達に羨ましがられることになるロッテ・落合のカードもさることながら、
まったく企業臭のしない直筆の手紙が子供ながらにとても嬉しかった。
多分これは、一社員の独断で行ったものだろう。
もしおれが芸能人だったら、番組企画でこの担当者探し出してお礼言ったのにな。
爽やかな思い出だ。

それにしても、集めたあのカードはどういう末路を辿ったのだろう?
まったく覚えていない。
激しく後悔。とっておけばよかった…。

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