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かれこれ30年以上中日ファンをやっている。
小学校低学年あたりからなんとなく中日ファンになりかけていたが、その後仁村徹の出現で決定的となった。
巧さと紙一重の軽率さがたまらなく好きだった。
大人になってから草野球で「ホームインは手」というポリシーを貫いたが、仁村の影響だ。
それからというもの、彦野の変なバットの握り方や
「左翼・ホール 中堅・山崎武 右翼・大豊」という有り得ない外野陣
関川の無意味なヘッドスライディングに井端のドライアイ…何かと楽しませてもらってる。
そんな中、幾度となくおれを誘惑して来た球団がある。
ヤクルトスワローズだ。
イカしていた。特に弱小時代のイカしっぷりは凄かった。
もの凄くテキトーだった。
そんなところがたまらなくおれの心を揺さぶったのである。
一番強烈だったのは、助っ人投手・アイケルバーガーである。
ホアン・アイケルバーガー
ストッパーとして期待されたアイケルバーガーは、1989年開幕2戦目の巨人戦9回に初登板。
ストライクとボールの概念を知らないのか、好き勝手なところにボールを投げ続け
至ってスムーズにノーアウト満塁のピンチを作った挙句、
原の打席ではサインとは全く違うところに意気揚々と131km/hの豪速球を投げつけ、
来日初登板で、チームに暴投サヨナラ負けをプレゼントしたのである。
常軌を逸したそのピッチングはあまりにもイカしていた。
こいつを同点の9回裏に出してくるスワローズというチームに惚れかけた。
その後も、どうやら誰もストライクとボールを教えてくれなかったようで
登板する度に好き勝手な方向に投げ続けるアイケルバーガー。
キャッチャーは古田よりもむしろどっかのサッカークラブチームからゴールキーパーを獲ってきた方がいいんじゃないか…と言われたほど
ヤマを張ってあっちこっち跳ばざるを得ない状況。
暴投は150km/hで、たまーに投げるストライクは130km/hそこそこだった。
それはとても刺激的で、新しいスポーツに見えた。
それでいて登録名が最長(当時)とか、歴代選手名鑑では先頭に記載されるとか
無駄に球史に名を刻んでいるのである。サイコーだ。
おれの愛は本格化しかけた。中日に別れを告げる覚悟もしかけた。
後で知ったことだが、来日する前から「彼が稀代のノーコン」ということは周知の事実だったようで
与四死球>奪三振という恐ろしいデータもしっかり出ていた。
にも関わらず獲得したスワローズ。
当時この事実を知っていたら、迷いなくスワローズを愛していただろう。
しかし、翌月には早くもガッカリすることになる。
スワローズも一応ちゃんとした野球をしたかったようで
アイケルバーガーは5月にあっさり解雇となってしまったのである。
0勝3敗0S 防御率7.04 という、ステキすぎる成績を残して。
奇しくも、それはアイケルバーガーの祖母が他界した日であり
「祖母が亡くなった日に解雇されてとても悲しい」とコメント。
あのアイケルバーガーが泣かせるコメントっていうのもガッカリポイントだった。
しかし、ここでおれの愛を冷めさせなかったのがスワローズの凄いところだった。
後に、関根潤三カントクがアイケルバーガーについてこうコメントしたのである。
「名前がおもしろくて獲ったんだよねー。なんて名前だったっけ?米軍の偉い人に同じ名前がいたんだよねぇ。暴投してすぐいなくなっちゃったねー。ホッホッホッ」
すっごいイカしっぷり。関根さん、若いころ野球が得意だったなんてにわかには信じられない。
そう、きっとこれは「関根マジック」だったのである。
関根潤三氏と言えば、監督を辞めた後、解説でこんなコメントをしていたのを覚えている。
実況:「1点差を追う9回裏。2アウトランナー2塁でピッチャー交代です。関根さん、この場面どうご覧になりますか?」
関根:「いま1点差でしょう?これでランナーが帰ると同点ということになりますけどねぇ」
実況:「はい。」
関根:「もしここで一発出るようなことがあればねぇ、サヨナラですよねぇ。ホッホッホッ」
実況:「…はい。」
痛快すぎる。関根さん痛快すぎる。
実況に振られたわけでもないのに
「今の1球ですけどね、松井クンの見逃し方がですねぇ、なにか今の松井クンの状態を表しているようなね、そして今年のジャイアンツの結果を暗示しているようなね、そんな感じがするようなね、僕はそんな気がするような感じがするんですよね」
とかワケのわかんないことを言いだす掛布なんかより、50,000倍痛快だ。
関根さんが「理想の上司」、「いたら嫌な上司」ランキング共に上位に入ったのもうなずける。
恐らく、仕事の出来ないヤツが「理想の上司」に投票し、仕事の出来るのは「嫌な上司」に投票したんだろうが。
いや、元々関根さんについて語るつもりではなかった。
スワローズにはその後もイカした選手が次々と登場する。特に外国人投手の連中がすごかった。
名前が印象的なレモン。
かつて大リーグにストロベリーという名選手がいたし、リンゴ・スターの件もあるし
「イチゴとリンゴが凄いのだから、レモンもやるだろう」なんて期待されたのだが
蓋をあけてみると恋愛小説の自費出版に没頭し、野球は中途半端。
古田に「エロ小説は書かない」と約束させられてもどうしても我慢できず、結局1年で退団。
そこそこ活躍するが、後にロッテを「(夫人が)できちゃった退団」することになるハッカミー。
アイケルバーガーの遺伝子を継承したかのように、楽しそうに好き勝手なところに投げるバートサス、バチュラー、ロックフォード。
あと、打者ではミミズ食べるのいたね。ハドラーだっけ。
シュートに詰まってバット折りまくり、空振りでも折っちゃったと噂されたブロハード。
ヘルメットにめっちゃめちゃプリクラ貼ってたアホ、ホージー。
およそ野球をしに来たとは思えない感じの面々は、実に愛すべき存在だった。たまらんねー。痛快だねー。
ホーナーは嫌い。野球上手だから。
日本人でも、カーブしか投げない加藤とか好きだったし…。
いつ心を奪われてもおかしくない状況だった。
その一方で、中日の方もおれの気持ちを繋げるために頑張ってくれた。
その筆頭がディステファーノだ。
ビミョーにイケメンだったこの選手…
入団会見で「乱闘宣言」し、オープン戦でいきなり乱闘→退場。
シーズンに入っても、乱闘では常に先陣。
たまーに打席に入ると、ホームベース付近を飛んでた虫にさえ感情を露わにし、
はたから見たら頭のおかしい人にしか見えない熱ーいパフォーマンスを披露。
しかし、打撃はからっきしダメで、凡退する度にモノを壊し続けた。
イカしている。
奇しくもアイケルバーガー退団の翌年である。
「中日にもアイケルバーガー並みにイカしたのが来た~」と思ったものだ。
星野監督は相当買っていると何かで読んだので、早期解雇の恐れもないと思っていた。
だが、「凡退の度にモノを壊されては修繕費がかさむ」ということで解雇になってしまった。
アイケルバーガーパターン。
がっかりである。
しかしまぁ、その後もどうにかこうにか中日ファンを続けてはいる。